脳性麻痺児者の支援

【重症心身障害児者】自宅でできる尖足のマッサージ

もともと、このブログは脳性麻痺児者、重症心身障害児者の支援から始まりました。
毎月開催しているマッサージ教室。明日は無料開催。
マッサージ教室ってどんなことをするの?私にもできるの?
いろいろな声をいただくこともあります。本日は明日の教室の資料を公開します

【自宅でできる尖足のマッサージ】

このブログを見ている方は尖足がどのような状態か分かる方が多いと思います。
ふくらはぎの筋肉が硬くなり、つま先がピンと伸びた状態を指します。
さて…
この硬くなった足関節に足関節にどのようなストレッチやマッサージをしていますか?

・触るのが怖いから何もしない
・硬いところを力強く伸ばす
・筋肉をマッサージしてみる

色々な方法があると思います。
PTやOTといった国家資格を持つ方はどうでしょうか。
無理やり力づくで足関節を背屈方向にストレッチしている人はいませんか…?

いくつか考えてみませんか?
力づくでストレッチすることにエビデンスはありますか?
尖足になっている原因は脳の損傷のみですか?
どうやったら脳の治療ができるのでしょうか?
成長していく筋肉や骨格、手術のみで対応できますか?

【動的システム論】

医療は月日が経過するにつれて進歩します。同様に理学療法や作業療法の治療技術も進化しています。脳に起因する症状に対しての治療法も大きく変化しました。少し紹介します。

反射理論 シェリントン
・身体の反応は刺激によって開始する。
例:熱いものを触ると手を引っ込める

階層理論 ジャクソン
・脳が身体を支配している
例:脳が損傷されると身体のあらゆる部分に異常をきたすようになる

システム論 ベルンシュタイン
・人の行動は運動課題、個人因子、環境因子の相互作用である

日本に理学療法が誕生したのが約50年前です。
私が学生だった2010年あたりの学校では階層理論までしか習っていません。学校でも「脳に起因する症状は脳に原因がある」「福祉用具やサービスを使って在宅生活を支援する」と学んだ記憶があります。就職後、職場の先輩や後輩との会話でもシステム論といった考え方は聞こえてきません。簡単にシステム論について紹介します。

あなたは高齢の男性・もしくは女性とします。
右手足に麻痺があり、左手に杖をついて歩いています。歩くことは可能ですが、右手足に力が入りにくく、体重を乗せることが不十分です。
場面はまっすぐの道路。人や車は通っていません。あなたはどうやって歩きますか?

運動課題:道路を歩く
個人因子:片麻痺の高齢者、右手足に力が入りにくい
環境因子:人通りの少ない道路

あくまでも一例です。
人は怖いと身体が曲がる習性があります。
TVでバンジージャンプを強制されている芸能人がその場にうずくまってなかなか飛ぶことのできない場面を見たことがありませんか?
学生時代平均台の上を歩くと手を左右に大きく広げてバランスを取りながら歩く人、また、怖くて両手を胸の前に近づけて歩く人。

片麻痺で力の入りにくい手が下に垂れ下がっているよりも肘を曲げて身体に近づけている方が安定する気がしませんか?
実際に脳血管障害の多くはこのような姿勢です。

img_7732あえて、この画像を使っているわけではありません。気になる方は「脳卒中 姿勢」などで調べてみてください。
話を戻します。片方の手足に力が入りにくくなると、人は身体を安定させようとして手足が曲がりやすくなります。片麻痺の人が、歩くという運動課題に対して安全に歩こうとした結果、手足を曲げて歩いていると考えることができます。

重症心身障害児者、脳性麻痺児者で尖足になっている場面を想像します。
高齢の方の画像ですが…

img_7733

高齢者とお子さんの理学療法をするときに意識する大きな違いがあります。

高齢者の場合
一度、獲得した能力が失われている

お子さんの場合
運動能力が発達していない。もしくは発達途上の段階

自分自身で座ることを経験していないお子さんが上の写真の様な姿勢で座っているとどんな反応になるでしょうか?
・椅子から落ちそう
・怖い
・落ちないためにはどうしなければいけないか
お子さんの中には意思疎通が取りにくい方もいらっしゃいます。しかし、身体が安定している時とそうでないときは表情に変化が出ていることが多い印象があります。

車いすに座っている時に椅子からずり落ちそうなお子さんを見かけることもあります。全てとはいえませんが、システム論を考慮するとずり落ちそうな姿勢が長く続くことでより手足が硬くなることを助長してしまうかもしれません。

もちろん、システム論で全て解決することはありません。しかし、お子さんの変化に気づく1つの考え方だと思っています。

みなさん、「リハビリの夜」という本を読んだことがありますか?その本の中で

脳性運動障害者に対する現在根拠がほぼ確立されている介入方法
①痙性を増価させることなく筋力を増強する漸増的抵抗運動トレーニング
②バランス能力の向上、筋緊張の減少をもたらす姿勢バランストレーニング
③関節可動域を改善させ、痙性を減少させる持続的ストレッチング

引用「リハビリの夜」 著 熊谷 晋一朗

ここで持続的ストレッチングという言葉がでてきました。
記事の最初にどのようなマッサージ・ストレッチをしていますか?となげかけました。
正しいマッサージ・ストレッチの知識がないと自分自身、もしくはお子さんの身体を余計に硬くしてしまうかもしれません。

【痛みの知識】

なぜ痛みを感じるの?
・痛みの刺激は神経を通して、脊髄には送られます。その後、脊髄から脳や筋肉に情報が伝わります。脳では痛みを認知し「痛い」という感情が生まれます。筋肉は当該部位を硬くする反応が出現します。

・「痛い」という感情が生まれると…
①交感神経の活動が活発になる
→高血圧や動脈硬化
→消化管の機能抑制→便秘
→筋肉が虚血状態になる

②筋肉が虚血状態になる
交感神経の活動は皮膚の血管を収縮させると言われています。そうすると筋肉が酸欠状態になり、さらに痛みが生じやすくなります。

こうなると痛みの悪循環に陥ってしまい、なかなか抜け出すことができません。その時に必要になるのが正しいマッサージやストレッチです。

【正しいストレッチやマッサージって?】

色々と難しい知識がありますが…

基本的に「痛くないことをすると痛みは和らぎます」

筋肉に痛みが生じない程度の刺激を与えることで脳から痛みを和らげる物質が放出されることが分かっています。
そのため、私が開催しているマッサージ教室での約束事として

「痛みが出ない」

「お子さんが笑顔になる」

この2つを達成できれば基本的に痛みは和らいでいきます。
次にマッサージとストレッチを行う際に必要な知識を簡単に紹介します。

【正しいマッサージの知識】

近年、「筋膜」という言葉をテレビでよく耳にすると思います。この筋膜について解説します。
筋膜の特徴
・全身に広がっている
・筋肉の伸張受容器であり、痛みを感じる組織
他にも多数ありますが、筋膜は全身を覆う大きな組織です。手足や首、腰など一部分の筋膜に硬さが生じると他の部位にも支障をきたすことが分かっています。
また、この筋膜は身体の表層に存在し、わずかな力で動くことも分かっています。
例:鳥のささみの白い部分など…

軽い力でも十分に筋膜に対して刺激を与えることができます。硬くなっていたり、痛みが生じている筋肉は刺激にとても過敏になっています。そのため、痛みや硬さのある筋肉は優しい力で触ることが必要です。
私たちは筋肉を力強く押すことには慣れています。しかし、柔らかい力で身体を触ることは不得意な人が多い印象です。まずは、優しく身体に触る練習から始めてみましょう。
例:生卵をつぶさないようにテーブルで転がしてみたり…
詳細な解説はこちらから

【正しいストレッチの知識】

筋肉を伸ばす際に気を付けることがあります。
第1ストップと第2ストップを知る必要があります。

第1ストップ:筋肉に伸張感を感じる手前
第2ストップ:筋肉に伸張感を感じるあたり
この表現はだいぶざっくりとした表現です。詳細はこちらよりご覧ください。

多くの方が第2ストップ以上の位置でストレッチを行っています。しかし、第2ストップの位置は筋肉にかかる負担が大きく痛みが生じやすいです。第2ストップでのストレッチの仕方も練習してみましょう。
例:タオルの繊維を軽く伸ばしてみる

【尖足に対するマッサージ】

下腿三頭筋→ハムストリングス→大殿筋→脊柱起立筋→後頭部の筋肉
大殿筋→広背筋→大円筋→外腹斜筋→腰方形筋→腹直筋→大胸筋

尖足の原因となる下腿三頭筋は多くの筋肉と連結しています。さきほど、筋膜は全身を覆っており、一部の異常が他部位にも支障をきたすと。
下腿三頭筋はお尻や腰、胸や後頭部の筋肉とつながりがあります。このため、尖足の原因は他部位に渡って存在する可能性があります。
まずは、ご自身の身体で試してみましょう。
立った状態で身体を前に倒してみてください。どこまで身体を倒すことができますか?
痛みの生じない範囲でやってみましょう。
次はこちらの動画をごらんください。


胸筋のストレッチをした後にもう一度身体を前に倒してみてください。
変化はありましたか?
もちろん、全ての方に効果があるわけではありません…。
他にもさまざまな方法があります。
今から実践していきましょう!!
※続きはマッサージ教室にて

【まとめ】

本日は尖足に対するマッサージ教室の資料を公開しました。私が開催しているマッサージ教室ではこのように自宅でできる簡単なマッサージやストレッチの方法を紹介しています。気になる方はぜひご参加ください。
大阪・兵庫など近隣地域に出張マッサージ教室も承っています。ぜひお問い合わせください。

【筆者自己紹介】

2013年理学療法士免許取得。その後、上田法・ドイツ筋骨格医学会日本アカデミー・PNFなどの知識や技術を勉強しています。現在は兵庫県尼崎市にて子どもと親のマッサージ教室を開催。

プロフィール

健康相談お兄さん。

子どもから大人まで、しょうがいの有無を問わずに対応。

『生まれてから死ぬまで豊かに生活できるまちづくり』を目指す。

質問や相談、お仕事の依頼はこちらからお気軽に♪♪

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